【レポート】「共闘ことばRPGコトダマン」SREチーム流 アプリのユーザー体験向上を支えるオブザーバビリティ #CEDEC2024 #classmethod_game

【レポート】「共闘ことばRPGコトダマン」SREチーム流 アプリのユーザー体験向上を支えるオブザーバビリティ #CEDEC2024 #classmethod_game

CEDEC2024において、長期運営されている共闘ことばRPGコトダマンが、NewRelicによってどのように運営が改善されたかについて発表がありました。
Clock Icon2024.08.24

こんにちは。ゲームソリューション部の出村です。

CEDEC2024で講演された「『共闘ことばRPGコトダマン』 SREチーム流 アプリのユーザー体験向上を支えるオブザーバビリティ」というセッションの概要をお伝えします。

セッション内容

「共闘ことばRPGコトダマン」SREチーム流 アプリのユーザー体験向上を支えるオブザーバビリティ

今年で6周年を迎えた「共闘ことばRPGコトダマン」の運営では、以下のようなゲーム運用における課題に直面していました。
・負荷増大によるユーザー体験の悪化を観測できていない
・運用移管の背景もあり、インフラの構成管理や監視設定が不明瞭
・本番障害(バグ)の調査コストの肥大化
SREチームの立ち上げやオブザーバビリティの実現、上記の課題解決への取り組みをご紹介します。
同様の課題をお持ちの方はもちろん、オブザーバビリティをご存知ない方もぜひご参加ください。

内容について

長期間にわたって運営されているゲームの特徴として、ユーザーがストレスなく遊べている、という点があります。では、このユーザーがストレスなく遊べているという情報はどのように運営側が知ることができるのでしょうか?

運営側の感覚でしょうか? それともユーザーの声でしょうか? どちらも曖昧なものですし、ユーザーの声をSNSなどから拾ってくる方法もありますが、やはり声の大きな人の意見が入ってきやすいので、ユーザーの総意という訳ではないでしょう。

そのようなユーザーがストレスなく遊べているといったことをNewRelicを利用することで、感覚ではなく数値で計測することができます。

これにより、以前よりどの程度改善されたかを数値で知ることができ、改善がスムーズに行える様になります。

コトダマンの運営においては様々な課題がありました。特に運営の長期化、組織の拡大に沿って技術的負債が蓄積されている点があります。技術的負債により、開発速度も低下していきますし、バグが発生しやすくなります。

このあと、具体的にどのような課題があったのか解説していきます。

課題には次のようなものがありました。

エラー監視ツールにおいて、エラーは検知できるものの意図通りではないバグが検知できませんでした。その他にも、エラーを監視ツールではなく、ユーザーの報告で知る、といったこともありました。これにより対処の初動が遅れたり、影響があるユーザーが増えたりしました。

その他、ユーザー体験が運営側で完全に把握できていなかった点もありました。特定イベント時の開始直後に発生するスパイクがそうですし、あとはユーザーがプレイしている環境はアプリの反応速度が悪い状況であっても、それらがサーバー側のメトリクスでは検知できていなかった、といったこともありました。

他には、ユーザー体験悪化の原因が特定できていなかった点もありました。

なんだか処理が重いというユーザー報告があり、調査をしてみてもいまいち原因がはっきりしなかったり、その原因に見当をつけて修正するといったことをおこなっていました。そして、その修正した結果、ちゃんと修正されているかどうかを知ることもできていませんでした。

これらの問題に対して、課題解決の戦略をたてました。

運用ガイドラインの制作、監視設計の見直し、NewRelicのAPMの導入があります。

NewRelicを導入した結果は次の通りです。

サーバーの状況やユーザーの体験をそれぞれ可視化できるようになりました。ゲームイベントでのサーバー挙動が時系列で追えたり、DBクエリレベルでのパフォーマンスを可視化できるようになりました。

それに加え運用見直しができました。それまでサーバーの台数を固定台数で運用していましたが、それらを動的運用(オートスケーリング)できるようになりました。

それらサーバーの可視化や見直しをした結果、サーバーのランニングコストを大幅に下げることができました。

NewRelicを活用した事例の一つにサービスレベルの定義があります。

このようにサービスレベルを定義・維持するようにゲーム運営に取り組むことで、一定基準のユーザーレベルを維持することができるようになりました。

感想・雑感

これまで経験や感覚ですすめていた事が、NewRelicを導入することで計測できるようになりました。

NewRelicを導入するメリットとして、開発者の負担が軽くなったこともそうですが、ユーザーに対して安定したサービス提供ができるようになったという点が具体例で分かったのがよかったです。

このような課題を抱えている企業やプロジェクトは、ゲーム会社に限らず多くあるかと思いますので、それらの企業やプロジェクトに対して支援できればと思います。

この記事をシェアする

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.